西洋帆船の食事
かたパン
こんなものだったのでしょうか?
大型のカンパン。英語名は"Navy Biscuit"です。
ホーンブロワーのシリーズの中で、ビスケットと呼んでる所もあったので、まず間違いないと思うのですが。
もう少し薄いのもみかけました。
そしてお次が、有名なこくぞうむし君ですね。
かたパンに涌いていて、みんなかたパンを机にコツコツ打ち付けて、こくぞうむし君を追い出してから食べました。
塩漬け肉とベーコン
以下はNet上で見かけた記述です。これを読むと、ホーンブロワーたちが食べていたのが、単なる塩漬け肉かベーコンか良く判らなくなってしまいます。
bacon (ベーコン)ベーコンは通常豚のわき腹肉を塩漬した後に、くん煙(堅木の煙でいぶすこと)された食品。ある説では紀元前数世紀頃、海賊が活躍していた現在のデンマークで、長い航海用の食料として豚の塩漬け肉が用いられたことが始まりと言われている。塩漬け肉は船の上では調理しにくいので、火であぶって貯蔵されるようになった。ある時薪が湿っていてよく燃えないままあぶられた塩漬け肉が、ほどよく煙でいぶされてよい味がしたのみでなく、以前より長く保存できることが発見された。この塩漬け豚肉を煙でいぶしたものが今日のベーコンの原型である。デンマークでは、豚の頭、足、内臓を除いて縦割にした半丸枝肉を、塩漬けくん煙した。これが北欧各地に伝わり、種々の型のものに発展した。しかし、十数世紀までは特定の名称はなく、単に豚肉のくんせい品とされていた。
ベーコンの名称は、16世紀末スペインの無敵艦隊を破った英国で、世界に進出する膨大な船舶の食料品として、著名な政治家、哲学者及び随筆家のFrancis Baconが大量に塩漬け豚肉のくんせい品を作らせたことに由来するとの説もあるが定かでない。
英国の船乗りが帰国後もベーコンを日常食べ、一般食肉製品として最も早く確立した。デンマークでは19世紀に工場で大量にベーコンの生産がされ、北欧や北米に輸出された。これは半丸枝肉のベーコンで、各部位の豚肉を利用したベーコンは20世紀になってアメリカやドイツ等で発達した。現在では使用する部位により、ベリー、ロース、ショールダーベーコンのように名付けられている。最も普及しているのはベリーベーコンで単にベーコンと言えば普通これを指す。アメリカや英国では朝食によく食られている。 (K. K. & S. K. K.)
食事一般
これもNet上で見かけた記述の一部です
帆船時代の水兵の食事はそれはそれは凄まじい物だったそうで・・・。
主食はカンパンと塩漬けの肉とチーズでしたが、カンパンは船底から染み出す湿気ですぐに穀象虫が涌いてしまい、常にカンパンの中からは大量の穀象虫が蠢く音がしていたそうです。 しかもあまりに大量の穀象虫が巣くっているので、カンパンを揺すって虫を落とそうとしたら、虫食いで脆くなったパンそのものが粉々に崩れてしまう事も珍しくなかったとか・・・。
塩漬けの肉も、どんなに塩を効かせても必ず蛆が涌くのですが、水兵は樽から肉を取り出す前に生魚を上に置いたそうです。 何でこんな事をするのかと言うと、蛆が塩漬けの肉よりも新鮮な生魚の方を好むからだそうで(当たり前だ)、生魚の方に蛆虫が集まったら蛆のたかった魚を捨てて、樽の中の塩漬け肉を取り出したそうです。
チーズはもっと凄く、当時の言葉で「船のチーズには足が生える」と言う言われ方をしていたそうです。 これはどういう意味かというと、湿気のこもった船倉ではチーズなどはすぐに腐って蛆が涌くのですが、あまりにたくさんの蛆がチーズに涌くので、まるでチーズが浮き上がって動いているように見えるからこの様に言われたのだとか(イヤ過ぎ)。
ちなみに、18世紀のイギリス戦闘艦での、平均的な献立
一日、主食のビスケット(港ではパン)とビール8パイント(4.5L)に加えて、
日曜:乾燥えんどうのスープ+塩漬け豚肉
月曜:オートミール、バター、チーズ
火曜:塩漬け牛肉
水曜:オートミール、バター、チーズ、乾燥えんどう豆スープ
木曜:乾燥えんどう豆スープ、塩漬け豚肉
金曜:水曜と同じ
土曜:火曜と同じ
但し、塩漬け肉はそのままではなく、ちゃんと塩を抜いてから供された。
このとき、バターも腐っていることが多かったので、肉を煮る時に出る油をコックから買ってビスケットにのせて食べることも多かったそうな。
ビールが大量にあるが、ビールは割と栄養価が高く、昔の下層市民にとってはビールを主食(!)としていたことは珍しいことではなかったこともあると思われる。献立をみると確かにひどい食事なのだが、それでも水兵になるような下層市民にとっては自宅よりかなりマシな食事だったようだ。