2001年から書き始めたトドの書評データベースです。
2019年7月に2000冊を越え、今も年100冊程度追加しています。
(書評が無いのは2000年以前の読了本です)


デズモンド・バグリー

作成日不明

解説

 イギリスにはアリステア・マクリーンやハモンド・イネスなどに代表される冒険小説の系譜があります。余り知られて無いかもしれませんが、デズモンド・バグリーもその系譜に属する巨匠の一人と言って良い思います。調べたところによるとケン・フォレットやダンカン・カイル(この人は私は知らないのですがハヤカワから数冊出版されてます)にも影響を与えた作家だそうです。
 バグリーは作家デビューが遅かったせいもあって、長編は16冊しか発行していません(下の14作にゴールデン・キールとスノー・タイガーを加えたもの)。これらは全てハヤカワ文庫から発行されましたが、今は廃刊になったものも多そうです。

 バグリーの魅力は何でしょうか。どちらかと言えばシンプルな構成なのですが、力強さを感じさせる作品が多いように思います。アクションシーンはさほど派手ではありませんが、主人公のゴツゴツした男らしさ、飾り気の無い人柄などが魅力です。
それと特徴的なのは、その舞台に良く使われる”自然の脅威”です。「高い砦」の雪山シーン、「裏切りの荒野」のアイルランドの荒野、名前そのものの「ハリケーン」。アウトドアが好きで放浪を重ねた自分の体験を活かし、それを物語の背景に(時には主役といっていいほど)上手く使っています。

個人的なお勧めは「高い砦」です。
アンデス山中に墜落した飛行機の乗客達と軍事政府軍の戦い。乗客の一人である歴史学者が考え出したわずかな武器と、地の利を生かし、結束して対抗する乗客たち。そしてクライマックスの決死の雪山越え。
内藤陳さんの名著「読まずに死ねるか」でも高い評価を得ていますが、名作といってもいいとと思います。

略歴

記   述
1923 イギリス中央部のKendalという町に生まれる
1937 14歳で学校を終え、印刷屋の小僧として働き始める
1940 航空機会社で働く
1947 南アフリカでの長い放浪生活に入る。石綿・金鉱等で働く。
ジャーナリズムへの関心が深まる
1950年代 南アフリカでフリーのジャーナリストとして活動
1960 Joan Margaret Brownと結婚。イタリアに住む。
1963 処女作 THE GOLDEN KEEL 発表 好評を持って迎えられる
1967 ガンジー島(イギリス領・イギリス海峡のフランス・ノルマンディ近く)に移住
1973 マッキントッシュの男(原題 THE FREEDOM TRAP)映画化。
ジョン・ヒューストン監督 ポール・ニューマン主演
1983 Southampton で死去

▽▽読了作品(2002以降の読了本は書評付き)▽▽