Todoの独り言です。
最近はブログに書き込むことの方が多いのですが。。。。、

大崎善生さん

2006/03/19

大崎善生さんにはまっています。
切ない恋愛小説を得意とする作家さんです。どうも、どこか騙されているような気がしつつ、次から次に手にとっています。

”騙されている感じ”というのは、恐らく綺麗過ぎ、出来すぎたストーリーから来るものだと思います。様々なプロットも決して目新しいとは言えません。むしろストーリーもプロットも通俗的と言った方が良い様に思えます。それなのに、何故か妙にしっとりと心に沈んでくるのです。「何でこんな話に・・・」と思う心が騙された感じなのです。

最初からその事を不思議に思いつつ読み進めていたのですが、今週読んだ「九月の四分の一」という短編集で石田衣良さんが以下のような解説をされていました。以下、少々長い抜粋です。
"・・・・スーザン・ソンタグがいう作家の声こそ、その作家を特徴付けるもっとも強い印象なのだ。
 こんなふうにいうと、それは文体だろうと考える人が多いかもしれない。でもそれは違うのです。文体ではないのだ。作品によって、いくらでもアレンジできる文章上のスタイルとは異なる、もう一段深いところから立ちのぼってくる、その人らしさ。
ただ単純に「声」としかいいようのないもの。
 ・・・・(中略)・・・
大崎善生は、その意味では、生れもった「美声」の作家だ。"

音程やリズム感も感情の込め方も平凡なんだけど、声だけは見事な歌手。その声に魅せられてしまったのですね。何となく納得できたよに思えます。
これからも精一杯に美声を使った作品を、多作でなくて良いから書き続けていってほしい。そういった作家さんです。