Todoの独り言です。
最近はブログに書き込むことの方が多いのですが。。。。、

本の価格

2008/03/15

本が高くなったと思う。 でも、その責任は私にもある。

出版社は本を売って利益を出している。しかし、その本が売れない。
なぜなら多くの人が図書館で借りる。古本で買う。出版社の利益にならない。

利益を出すために値を上げるしかない。またまた読者が図書館・古本屋に走る。
また、売れる見込みのある本しか出さない。いや、出せなくなっている。企業は営利団体だから。

以前は「良い本だから」と言う理由で出版してくれることもあった。
その分、単価が他の本に上乗せしてあったのだろうが。

そうは言っても、全て新刊購入は懐にキツイ。どの位までが許容範囲なのだろうか。


10数年前、車の開発に携わっていた私。
当時は「エコで車は売れない」と言われていた。

エコには専用の装備が必要だし、その為の技術開発も必要。つまり金が掛かる。
それを商品価格に反映したら、お客は買ってくれない。
数百億の投資をして、売れなければその回収できなくなる。
従業員の生活に責任を持つ企業としては、そこに踏み込めない。

しかし、時代は随分変わった。
エコがステータスシンボルになって、少しはお金を払っても環境に優しい車を買おうかという人も出てきた。
多分にイメージ戦略の気はあるが、企業もエコに力を入れてきた。

本もそうなのかもしれない。
本を買って出版社に頑張ってもらう資金を提供する。
それで「良い本」が出版し続けられるようにする。
それが本を読む人のステータス・シンボルになればよい。

もちろん、それが出来る人も居れば出来ない人も居る。
出来ない人を批判する気はさらさら無い。
収入を持たない学生が図書館を利用するのは何も問題はないし、初めて手に取る作家さんの本を(気に入るか気に入らないか判らないので)、図書館で借りたり古本で買ったりも良いと思う。
でも本当に読みたい本なら、時には「高いなあ」と思いつつも投資すべきではないかと思っている。


しかし。。。。

図書館や古本屋を使うことが悪いとは言えない。
本と言う資源の有効活用という目で見れば、むしろ時代に沿った良い制度と言わざるを得ない。むしろ私のように本を死蔵する方が問題。

では、どうすれば良いのか。

やはり、あるレベルのユーザー負担はやむを得ない。
1)図書館の有料化(いやぁ、貸本屋ですね)
 または新刊本の図書館価格(通常の倍とか)の設定
2)古本屋の一部利益の出版社への還元(当然、それは古本価格を上げる事に繋がる)
などの制度化か。

つまり、図書館利用者、古本屋利用者にも僅かながら負担いただく。どうだろうか。


こんなことを書き始めたきっかけは、図書館がベストセラー本を何十冊も購入するという話を聞いたから。住民サービスと言う面では、一見正しく見える。でもそれは私の考える図書館の「有るべき姿」では無い。
図書館は同じ話題本を何十冊も揃える必要は無い。むしろそのお金を、普遍的で有用な本、普通の家庭では買い置けないような本に使って欲しい。図書館はブームに乗る必要は無い。ブームに乗りたいと思う人は自分でお金を払いなさい。
そう思うのです。

もう一つ、気になっている事。
特に翻訳物の文庫は、映画化などの話題性を理由にラインナップされているとしか思えない。話題性がいけないとは言わないが、そればかりが優先され「良い本」(定義が曖昧ですが)が翻訳されていないように思う。これは日本の本でも同じ。
もちろん出版社も企業だから利益を追求する必要があり、ベストセラーは必要。でも、その裏で、文化の担い手として「儲けは出なくても良い本」も出版していただきたい。そう思う。
昔の文庫本の最後には出版社の「創業の志」を載せた本が多くあった。曰く「古今東西の不朽の典籍を、良心的編集のもとに、廉価に、そして書架にふさわしい美本として 」「われわれは権力に盲従せず、俗流に媚びることなく、渾然一体となって日本の「草の根」をかたちづくる若く新しい世代の人々に、心をこめて」。
最近ちっとも見かけない。まあ、こんなものは有っても無くても良いが、流石に恥ずかしくなったのかなと。。。


人は本を読むことによって喜びを得る。その喜びに対しては報酬を支払うべきだと思う。
確かに、新古書もお金を出して購入するわけだし、図書館にしても税金と言う形で支払っている。しかし、そのお金の一部を、それを作り、世に送り出した人たち(著者や出版社)に還元すべきではないか。それによって作り手のモチベーションが上がり、もっと良い本が出版されるようにならないか。「創業の志」を思い起こせないか。。。。

方法論は色々とあると思う。しかしどんな方法をとるにせよ大きな課題があり簡単に出来ることではないはず。だからこそ、まずは本を読む人々、一人一人が心の片隅にでもそういう意識を持つことが大切なのではないか。そんな風に考えている。


この文章は「本を読む人々。」に連続書き込みしたものをつなぎ合わせ、加筆訂正したものです。