Todoの独り言です。
最近はブログに書き込むことの方が多いのですが。。。。、

除菌とか無臭とか

2017/11/21
ブログ・Todo Diaryからの転載

テレビのCMで「99%純グリセリン配合・・・」という言葉を聞いて、「純」は「混じりけがない」という意味ですから99%はおかしかろうと強い違和感を感じました。私は大学時代に化学を専攻した者なので、この世の中に純物質など存在しないことは判ります。それにしても99%では低すぎ。せめてスリーナイン(99.9%)、出来ればフォーナイン(99.99%)かシックスナインレベルでないと「純」とは言えない気がします。

純XXという言葉で思いつくのは何故か金属です。調べてみたらこれらにはちゃんと定義があって、純金;99.99%以上、純銀;99.9%以上 純鉄;99.90~99.95% 純銅;99.95%以上。やはりスリーナインレベルです。純グリセリンという定義は無いようで、グロセリンについてはJISの試薬レベルで99.0%、工業用精製グリセリンが98.5%という数値が出てきました。これを見るとこの製品は工業用では無く試薬レベルのグリセリンを使っているのかなぁ。ちなみに試薬と工業用の純度の数値差は小さいですが、不純物の組成が違うと思います。まあ、一般ユーザーに「試薬レベル」なんて言っても通じないでしょうし、広告代理店あたりが99%じゃ宣伝文句には弱いと判断して「純」という言葉を無理やり突っ込んだものかと。。。。

ところで、この99%という数字を最近いろんなCMで見ます。曰く「99%除菌」「99.9%除菌」。面白いのは汚れ落ちを示す動画でも、良く見ると小さな汚れが残っているように作られてます。誇大広告と言われないための回避策なのでしょう。そもそも100%なんて物は存在しません。せいぜい「通常検査では検知できない」だけです。 化学実験ではなるべく純粋なものを使います。しかし、実験器具を洗浄すれば洗剤が付着します。水道水で流せばカルキが付着します。さらに蒸留水で再洗浄しても、蒸留では完全に取り切れない物や、蒸留水を入れている容器に付着した異物があります。ですから「可能な限り頑張りました」を99%とか99.9%という数字で表現しているのでしょう。

面白いのは、ネットを見ていると「残り0.1%はなんだ!」と100%で無いことに噛みつくような消費者が結構いる事です。 ちょっと考えれば判るはずなのです。例えば「無菌室」があります。細菌研究用クラスの無菌室なら作るのに数億円は超えるはずです。そんな状態をたかが数100円の製品に要求すること自体に無理があります。そもそもそこに人間が居れば皮膚には常在菌(しかも善玉)が存在するので無菌はあり得ません。

そもそも日本全体が除菌とか無臭とかに余りにこだわり過ぎな気がします。 おそらく最初は洗剤/薬剤メーカーが、他製品との区別化し売り上げを伸ばすため謳ったものでしょう。今では多くのメーカーが追従し、やたらと除菌/無臭のCMを流しています。「私、ちょっとの臭いでも許せないんです」なんてCMに乗せられたブームに弱く頭の悪い消費者(失礼)が、さもそれこそが「正義」とばかり助長して行く。もちろん除菌/無臭が悪いことではないのですが、それにしても限度を超えていると思うのです。潔癖症は精神医学的には不潔恐怖症(強迫神経症)という立派な病気。そこまでは行かないにしても、そうした傾向を不自然と思わない人が多くなってるような気がします。 もっと大らかに生きたいですね。植物に触れ泥遊びをし、終わったらちゃんと石鹸で手洗いをする。布巾は洗ってしっかり乾かして使う。太陽が出たらお布団を日に当ててふんわりさせる。それ位で十分だと思うのですがね