Todoの独り言です。
最近はブログに書き込むことの方が多いのですが。。。。、

図書館システムの更新

2019/07/10

最寄りの市民図書館のシステムが新しくなりました。これがね、ちょっとヒドイ。
「業務を知らないシステム屋」と「システムを知らない業務屋」が表面だけ協力して作った仕掛け、かつてシステムの企画開発に携わって来た私の目にはそう写ります。

見た目は良いのですよ。デザインも洒落ているし本棚に表紙画像が表示されたりビジュアル的にも良いのです。しかし使いにくい。
図書を管理する図書館員(司書)と一般利用者のニーズを元にシステム屋が作り、市販された幾つかの図書館システムの中から選択されたものと思われます。そして 何となく目に浮かぶのは。。。。
システムについて知識も無く、利用者ニーズにも疎い図書館の担当者が
「わー!ページが綺麗」とか、「(利用者視点では無く図書館員として)使いやすそうだわ」と気楽に選んでいる姿です。

システム選定は非常に難しいのです。
まずはとにかくニーズを拾い集める。さらに実際に使われている他館のシステムなどを調査する。そしてそれらを整理して要件としてまとめて行く。ここまでは新しいシステムを企画する作業と変わらず、専門的知識と経験を持った人が相当な時間をかけて行う必要があります。でも、市の図書館にそんな専門性を持つ人はいないでしょう。結局は素人が何も準備もしないままシステム屋の説明を聞いて、うまく丸め込まれた。そんな気がします。

今回のシステムの一番の問題は「読みたい本」という機能が不完全な事です。
ユーザーは「読みたい本」にこれから読む本を一旦ストックし、手持ちの本が途切れたり、沢山の本が一斉に来ないように制御しながら予約に入れます。以前のシステムでも、私が知ってる他の図書館システムにも名前は違えどこうした機能が有りました。
今回も「読みたい本」というリストは有るのですが、ここから予約に行っても「読みたい本」から削除されないので、自分で一々手動で消していく必要があります。ひと手間と言えばそれまでですが、一旦消し忘れると混乱して面倒なことになってしまいます。

この機能は一般ユーザーにとっては非常に基本的な機能のはずですが、それが無い。
つまりこのシステムを作った会社はユーザーニーズをまともに集めずに漫然とシステム化した。そして、図書館はそういったユーザーの基本機能を考慮することなくシステム選定した。その結果だと思います。

細かなユーザーインターフェースもダメです。
例えば先ほどの「読みたい本」を例に挙げると、ここから予約する本を選定するので一覧性が欲しいのです。私の場合、たいてい10-20冊ストックしているのですが、1ページに10冊しか表示してくれないので、ページを行ったり来たりしなければならないのです。
表示数はスピードに影響するので無尽蔵にはできませんが「読みたい本」は多い人でも50冊位と思います。そして50冊くらいなら表示速度も大きな影響を受けそうにありません。

他にもあります。例えば予約中の本のリスト。
このリストからユーザーが知りたいのは「いつ頃、どの本が自分の手元に届きそうか?」です。ですから残り人数が少ない順に並べて欲しいのです。ところが今回のシステムは予約を入れた日順の並びなので、全ての本の残り人数を見て確かめるしかないわけです。
ビジュアルで見た目は良いのですが、使う立場で作られていない。そうしたユーザーインターフェースの悪さは枚挙に暇がなく。

そんな小さなことに目くじらを立てなくても、と思われるかもしれません。
でも実はこれはシステム屋がどれだけ本気で良い仕掛けにしようと考えているかを示しているのです。
一つ一つの画面でユーザーニーズをちゃんと把握し、どうすれば少しでも使いやすい仕掛けになるかを考える。それを一生懸命頑張っているのか、漫然と適当に作っているのか、その差がこのようなユーザーインターフェースに現れてくるのです。

導入初期と言うことでシステムベンダーの人が駐在し、ユーザーの声を集め、何らかの改善を狙っている可能性もあると思い、改善依頼のメールを図書館に何度かしました。
でもダメですね。そもそもそんな駐在を置くような真面目なベンダーなら、これまで導入した他館の声を集め改善された仕掛けになっているはずです。

これ以上、色々言って図書館からクレーマーと思われてしまうのも嫌なので、今ある仕掛けを「どううまく使いこなすか」を考える事にします。