青山文平
2018/03/16
解説
時代小説の作家さんです。
時代小説というと、特に私の場合は山本周五郎さんや藤沢周平さんとの比較になってしまいます。
山本/藤沢両氏が、武家ものから町屋もの、滑稽ものや人情もの捕物など非常に広く手掛けられたのに対し、青山さんは(少なくとも今のところ)端正な文体で武家やその妻女の清冽な生き方を描くのがお好きなようです。またそのせいか、作品全体の雰囲気も重くは有っても暗くはないようです。
また、直木賞やその他のインタビューで「銀色のアジ(鰺)を書きたい」という比喩で、みずみずしく生命感のある、歴史上の英雄よりも市井の人々を描く小説を目指していると言われているので、歴史小説に手を出すこともなさそうです。
歴史・時代小説には遅いデビューの作家さんが多いのですが、63歳というのはその中でも極端に遅い方でしょう。そして67歳で直木賞受賞(当時史上2番目に遅い)。もっとも40歳半ばで純文学系で一度デビューされているのですが。
老後のお金が無くて生活手段として時代小説を書かれたらしく、ちょっと引いてしまうのですが、そういえば山本一力さんが作家になったのも借金返済の為でしたね。
時代小説の作家さんは売れ始めると作品数が増大して、そのぶん質が低下するという傾向が見られるのですが、青山さんは今のところそんな様子は無く、大体年一冊ペースで発表されています。やや寡作ながら、質の高い作品を連発する作家さんです。
略歴
年 | 記 述 |
---|---|
1948 | 神奈川県横浜市に生まれる |
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業 | |
経済関係の出版社に18年勤務しながら、影山雄作名義で純文学を志す。 | |
1992 | フリーライターとなる。影山雄作名義で純文学を書き続ける。 |
2011 | 「白樫の樹の下で」で時代小説作家・青山文平として再デビュー |
受賞歴
作品 | 賞 | 受賞年 |
---|---|---|
俺たちの水晶宮 (影山雄作名義) |
中央公論新人賞 | 1992年 |
白樫の樹の下で | 松本清張賞 | 2011年 |
鬼はもとより | 大藪春彦賞 | 2014年 |
つまをめとらば | 直木三十五賞 | 2015年 |
▽▽読了作品(2002以降の読了本は書評付き)▽▽