2001年から書き始めたトドの書評データベースです。
2019年7月に2000冊を越え、今も年100冊程度追加しています。
(書評が無いのは2000年以前の読了本です)


帚木 蓬生

2018/01/10

解説

まずは名前、ははきぎ ほうせいと読みます。
ペンネームで、源氏物語五十四帖の巻名「帚木(ははきぎ)」と「蓬生(よもぎう)」から取ったそうです。

東大仏文科を出て2年の会社勤め。その後、九大の医学部に入り直して精神科医を本業としながら小説を執筆(ご本人が自分の事を日曜作家と読んでいます)し、多くの文学賞を得るという凄い経歴の持ち主です。精神科医としてもギャンブル依存症の専門家で、それに関する著作もあるようです。

帚木さんはミステリー、純文学、歴史小説といろんな顔を持った作家さんです。
元々純文学を目指しながら、最初は「白い夏の墓標」でミステリー作家としてデビューしました。数作発表後、純文学「三たびの海峡」で吉川英治文学新人賞を受賞。その後、現役の医者として最先端医療の知識を生かした「閉鎖病棟」(山本周五郎賞)などのヒューマニティあふれる医療ミステリを数多く発表。2003年の「国銅」以降は歴史小説に移行し、特に最近は生誕地・福岡を舞台にした歴史小説を発表しています。

様々な顔があるにしても、その底辺に流れているのはヒューマニティです。ホンワカと優しいだけではありません。時に厳しく辛く陰惨でさえあります。でもそれらを含んで、最後は人間を信じるヒューマニティを声を荒げることなく淡々と語っていく作風です。

この文章を書こうとネットを探っていたら、帚木さんの執筆方法に関する面白いインタビュー記事に当たりました。
・執筆は1年1作と決めていて、大体1月から書き始める。
・1作が終わると、数年先の1作のテーマがちらっと思い浮かぶので、5~6年かけて資料を集める
・テーマは7年後まで決まっている
・どの作品でも100~200冊の資料を読み、必要な所だけを10センチぐらいのファイルにしてある
・毎朝、午前4時から6時の2時間が執筆時間

略歴

記   述
1947 福岡県小郡市生まれれる。本名、森山 成彬(もりやま なりあきら)
東京大学仏文科に入学。大学時代は剣道部員。
1969 TBSに勤務。報道を希望したが歌番組やお笑い番組の担当になり、2年で退職。
1972 九州大学医学部に入学。79~81年フランスに留学し精神科医を目指すようになる
精神科医として病院勤務。その傍らで執筆活動を行う
1979 『白い夏の墓標』でデビュー
2005 病院を辞め、精神科・心療内科を開業

▽▽読了作品(2002以降の読了本は書評付き)▽▽