北 重人
2018/01
解説
造園・都市計画コンサルタントとして働く傍ら、50歳を前に学生時代に志した小説を書き始めた作家さんです。
61歳で若くして亡くなられますから10年を僅かに超える短い作家活動でした。
山形県酒田市出身。ご本人がどう思われていたのか判りませんが、お隣の鶴岡出身の藤沢周平を思わせる少し沈鬱で抑制された筆致の作品が多く、葉室凛氏をして「まさしく彼は藤沢文学の継承者だった」と言わせた人でした。
苦学生だったのでしょうか、東京の下町で1年間の新聞配達員をして学費を貯めて大学に進学。その時の経験をもとに書かれた「鳥かごの歌」も印象に残る作品です。
略歴
年 | 記 述 |
---|---|
1948 | 山形県酒田市生まれる。本名、渡辺重人(わたなべ しげひと) |
1966? | 山形県立酒田東高等学校卒業 |
1967? | 東京に出て1年間新聞配達で学費を貯め、千葉大工学部建築科に進む |
1971 | 千葉大学工学部建築学科卒業。 |
1978 | 仲間とともにLAU都市施設研究所を設立し、造園・都市計画コンサルタント業務に携わる。 |
199X | 五十の声がきこえそうになり、ふと四半世紀ぶりに小説を書き始める。。 |
1997 | 短編『陽ざかりの棗』をオール讀物新人賞に応募するが、決選投票で山本一力の『蒼龍』に敗れる。 |
1999 | 『超高層に懸かる月と、骨と』で第38回オール讀物推理小説新人賞を受賞 |
2001 | 『蒼火』が第8回松本清張賞の候補作になる。 |
2004 | 『天明、彦十店始末』が、第11回松本清張賞の最終候補になるが、決選投票で山本兼一著『火天の城』に敗れる | 2004 | 松本清張賞選考委員の大沢在昌と伊集院静の強い推薦で、『天明、彦十店始末』を『夏の椿』と改題して出版。 |
2007 | 『蒼火』で第9回大藪春彦賞を受賞。 |
2009 | 『汐のなごり』で第140回直木賞候補。 |
2009 | 胃がんにより死去。享年61。 |
▽▽読了作品(2002以降の読了本は書評付き)▽▽