村田喜代子
2020/03/20
解説
村田さんとの出会いは『ゆうじょこう』でした。
主人公のイチが毎日通う女紅所(廓の中の学校)で書き残して行く、仮名ばかり、訛りだらけの日記にぶっ飛んでしまいました。さらに読み進めるうちに姨捨山を題材にした『蕨野行』、離島の老女を描いた『飛族』と次々に印象深い作品に当たって行きます。
村田さんの物語は
・どこか幻想的(ファンタジーなんてカタカナが似合わない)で
・主人公達の生き様に「逞しさ」「勁さ」を感じ
・土俗的な官能性があり
・とにかく実在感があり、持ち重りがする
のです。
多くの文学賞を得て高い実績を持ちながら、今一つ知名度は低い。
何故でしょうね。決して難解なわけでも無いのですが。。
略歴
年 | 記 述 |
---|---|
1945 | 福岡県八幡市(現在の北九州市八幡西区)出身。両親の離婚後生まれたため、戸籍上は祖父母が父母となる。 |
1951 | 市役所のミスで一年早く小学校入学。 |
1957頃 | 12才頃から小説を書き始める。本を買うために当時の女子では珍しい新聞配達のアルバイトを始める。 |
1960 | 八幡市立花尾中学校卒業。人と同じことを求められる学校が嫌いで高校には行かず、 鐵工所勤務や映画館のモギリをしながらシナリオライターの勉強する |
1967 | 結婚 |
1977 | 「水中の声」で第7回九州芸術祭文学賞最優秀作を受賞。これを境に本格的な執筆活動に入る。 |
1985 | 自身のタイプ印刷による個人誌「発表」を創刊。 |
1987 | 「鍋の中」(『文學界』5月号)で第97回芥川賞を受賞した。 |
受賞歴
作品 | 賞 | 受賞年 |
---|---|---|
水中の声 | 九州芸術祭文学賞最優秀作 | 1977 |
鍋の中 | 芥川龍之介賞。 | 1987 |
白い山 | 女流文学賞 | 1992 |
蟹女 | 紫式部文学賞 | 1997 |
望潮 | 川端康成文学賞 | 1998 |
龍秘御天歌 | 芸術選奨文部大臣賞 | 1999 |
故郷のわが家 | 野間文芸賞 | 2010 |
ゆうじょこう | 読売文学賞 | 2014 |
飛族 | 谷崎潤一郎賞 | 2019 |
その他、2007年に紫綬褒章を、2016年に旭日小綬章を受章
▽▽読了作品(2002以降の読了本は書評付き)▽▽