小川洋子
2020/01
解説
どの作品を読んでも感じるのは静謐感です。
どこか深い森の中の透明度の高い湖底に設けられた、清澄なのだけど片隅は薄暗い舞台。そこで演じられる、決して跳ねず叫ばず、ゆったり静かに沈み込むような物語。そんな雰囲気が有ります。
それがどこから生まれるものなのか判らないのですが。
多くのテーマが幻想的で何か奇妙な偏愛を感じさせます。指などの体の一部、あるいは鉱石とか図鑑と言った科学的なものに対する強いこだわりが有ります。
一言でいうなら「浸る」作家さんです。
略歴
年 | 記 述 |
---|---|
1962年3月 | 岡山県岡山市にて両親とも金光教の信者という家庭に生まれる。 |
小さいころ納戸にあった『家庭医学大事典』が最初の読書で、病気の説明や内臓の図を見る。 8歳か9歳で幼少習作『迷子のボタンちゃん』を書く |
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1974年4月 | 岡山市立竜操中学校に入学 |
1977年4月 | 岡山県立岡山朝日高等学校入学 萩原朔太郎や中原中也の詩集や立原道造、川端康成、太宰治、谷崎潤一郎を愛読する |
1980年4月 | 早稲田大学第一文学部文芸専修に入学 |
1984年3月 | 早稲田大学を卒業。倉敷市の川崎医科大学に就職 |
1986年9月 | 結婚を機に退職し、小説の執筆に取り組む。夫は当初、小説を書いているのを知らなかった。 |
1988年 | 『揚羽蝶が壊れる時』で海燕新人文学賞を受賞 |
1989年8月 | 長男を出産。同年9月、最初の単行本『完璧な病室』を出版 |
2004年 | 太宰治賞選考委員。 2007年より芥川賞、2011年から読売文学賞、2013年より河合隼雄物語賞の選考委員 |
受賞歴
作品 | 賞 | 年 |
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揚羽蝶が壊れる時 | 海燕新人文学賞 | 1988 |
妊娠カレンダー | 芥川賞 | 1991 |
博士の愛した数式 | 読売文学賞 本屋大賞 |
2004 |
ブラフマンの埋葬 | 泉鏡花文学賞 | 2004 |
ミーナの行進 | 谷崎潤一郎賞 | 2006 |
ことり | 芸術選奨文部科学大臣賞 | 2012 |
▽▽読了作品(2002以降の読了本は書評付き)▽▽