荻原浩
2020/01
解説
荻原さんはデビュー間もなく知りました。
当時の荻原さんはスラップスティック・コメディ。もともとトニー・ケンリックやパーネル・ホールなどが好きだった私は日本にもこんな作家がいると飛びついたのです。ケンリックもホールもシリアス路線に転じ、日本では翻訳されなくなってきたので、落語の「オチ」の様な、ずっこける笑いがきっちり書ける荻原さんは私にとって貴重な人材でした。
まもなく荻原さんもシリアス路線に転じます。「ユーモア小説を書いてくれない」とぶつくさ言いながらも、それなりに面白くて追い続けていましたが、暫く大きなヒット作は無く。
そして『明日の記憶』。これで一気に大ブレークしましたね。
自身も「ノンジャンルの人間」と表現するほど、多様なジャンルを書き分けることのできる小説家さんです。ユーモアからシリアスなもの、ハートウォーミングな話からミステリー、サスペンス、社会は小説と何でも書ける人ですね。
「器用貧乏なのかもしれない」と自己分析しておられるようですが、確かにそうかもしれません。どれを読んでも「良い作品」なのですが、逆にこれという作風が弱い感じもします。
映画やドラマなど、映像化される作品が多いのも特徴です。
略歴
年 | 記 述 |
---|---|
1956年6月 | 埼玉県大宮市に生まれる。 |
1980年 | 成城大学経済学部を卒業。広告代理店に入社く |
1991年 | 広告代理店を辞めてフリーのコピーライターとして独立 |
1995年 | この頃から小説を書き始める |
1997年 | 初めて書いた長編小説『オロロ畑でつかまえて』で第10回小説すばる新人賞を受賞 |
2003年 | コピーライターを廃業し専業作家になる |
2005年 | 『明日の記憶』が本屋大賞の第2位にランクインし、その後第18回山本周五郎賞に輝く。 |
受賞歴
作品 | 賞 | 年 |
---|---|---|
オロロ畑でつかまえて | 小説すばる新人賞 | 1997 |
明日の記憶 | 山本周五郎賞 | 2005 |
二千七百の夏と冬 | 山田風太郎賞 | 2014 |
海の見える理髪店 | 直木三十五賞 | 2016 |
▽▽読了作品(2002以降の読了本は書評付き)▽▽