? 2016年の読書

2001年から書き始めたトドの書評データベースです。
2019年7月に2000冊を越え、今も年100冊程度追加しています。
(書評が無いのは2000年以前の読了本です)


山本 周五郎

作成日不明

解説

私の読む国内小説のうちで、一番読書量の多いジャンルが歴史・時代小説です。そして、山本周五郎さんは私が時代小説に入り込むきっかけとなった作家さんです。
以前から私の家には周五郎さんの本がありました。多分、兄か母親が買ったものだろうと思います。そこから読み始め、あとは自分でどんどん買い足していきました。下に私の本棚にある周五郎作品の40冊ほどのリストがありますが、文庫化されたものはほとんどを網羅してると思います。そして、多分全ての作品を3度くらいは読み直していると思います。一時は本当に嵌っていたという時期がありましたので。さすがにほとんどの作品のストーリーを覚えこんでしまい、しばらくは冷却期間。また何年かしたら再読するときが来ると思います。

周五郎さんの作品は「武家もの」「市井もの」「下町もの」「岡場所もの」「こっけいもの」「平安朝もの」「現代もの」などのいくつかのジャンルに分けられます。長編もありますが短編が多く、私もどちらかと言えば短編の方が好きです。
周五郎作品の魅力を言葉で言い表すのは難しく「とにかく一度手にとって見てください」というのが一番良さそうです。短編の多い作家さんなので読むのも簡単ですし、キリッとした武家もの、人情一杯の下町もの、明るいこっけいもの、どのジャンルにもそれぞれの魅力があります。

周五郎さんの文庫化作品は、ほぼすべて新潮社から出版されています。1967年没ですが、最近まで時々新刊が出てました。これらは周五郎さんの戦前の作品が発掘されて発行されたものです。
私は一般的に作家の若い頃の作品を好む方なのですが、周五郎さんについて言えば晩年の作品が好きです。若い頃(戦前)の作品は、孝子忠臣・良妻賢母のような修身的色彩が濃く、ストーリーも平板で、文体も完成していません。年を経るにつれどんどん成長し、いい意味で「枯れた味」が出て素晴らしい作品を生み出した作家さんだと思います。私はそこから入ったので、戦前の作品でも発刊されれば購入し、読みますが、初めて読まれる人なら是非後期の作品から手にとられることをお勧めします。また、現代物や平安朝ものもありますが、やはり主体となる江戸時代を背景にした作品が無難と思います。

時代小説という事で、比較的風化しにくい作品群でもあり、新潮文庫さんはこうした作家を大切に扱ってくれるので、今でも多くの作品が書店に並んでいます。しかし、周五郎さんが亡くなってすでに35年が過ぎ、色々なホームページを見るに、やはり忘れられて行きつつある様にも見受けられます。ある程度仕方ない事だとは思いますが、是非これからも読み継がれていって欲しい作家さんです。

略歴

記   述
1903 山梨県に生れ。本名清水三十六(さとむ)。
1925 東会員雑誌「日本魂」の編集記者。文壇出世作『須磨寺附近』を「文藝春秋」に掲載。
1935頃 大衆小説作家として多くの短編小説を『新少年』『譚海』『講談倶楽部』『講談雑誌』『冨士』『キング』などに発表
1943 第十七回直木賞に『日本婦道記』が推されたが辞退。以後、賞と名のつく物は受けていない
1952 『よじょう』を「週刊朝日」に発表。「後半期の道をひらいてくれた」と作者が大きな意味を認めている
1953 『栄花物語』『正雪記』などの力作
1954 『樅ノ木は残った』の連載を開始
1960 『青べか物語』を「文藝春秋」に連載
1964 『ながい坂』の「週刊新潮」への連載を開始
1967 死去。63歳。

▽▽読了作品(2002以降の読了本は書評付き)▽▽